「ヒメ」との思い出
私がネットで「自分らしさ」を大切にするのには理由があって。
太古の昔、まだSNSがなかった頃。 偶然知り合った「ヒメ」ってお姉さんがいて。 これも奇跡みたいな出会いなんだけど。
別の人にメールを送ったらアドレスを間違えて、その「ヒメ」ってお姉さんに届いたの。
で、「こんな偶然、面白いからメル友になりましょう!」ってことになって。 そう、『メル友』の時代よ!
「ユー・ガット・メール」っていう、偶然のメールで恋が始まる恋愛映画があったけど。
私は、偶然のメールでお姉さんができたわけ。
なぜ、そのお姉さんが「ヒメ」って名前かというと「みんながそう呼ぶから」だってさ。
ははあ、「オタサーの姫」ってヤツね。
◇
で、ヒメは、すっごく優しくて色々恋愛の相談してたの。 ゲーム音楽を作ってる人(超大手で!)だったから音楽の相談もできた。 2年ぐらいして、ヒメが「結婚したよ」って結婚式の写真送ってくれたんだけどさ。
それが酒井法子みたいな超絶美人で私は鼻血出して死んだ。
「正真正銘の姫だ!」
ウェディングドレス姿のヒメは、まさに地上に降りた天使。
しかも!その結婚相手との出会いがさ、やっぱネットなのよ。
ネットで相手の修士論文を読んで内容に感激して。
で、熱烈な感想を送ってから付き合いが始まったんだってさ。
ヒメは、ゲーム音楽やってるくらいだから「オタク」だったと思うの。
しかし、修士論文を読み漁るものなのかしら。
今思えば…。その男性の顔写真が載ってたんじゃね?
そうなの!
相手の男性も、マジでカッコイイ。
遠距離恋愛だったみたい。
◇
ヒメが「ネットで知り合って結婚した」つーのは秘密の話だけどさ。
さすがにもう時効よね。
ネットだろうが「自分らしく」していたら、素敵な出会いがあるんだなって。
私もヒメと出会えたし、ヒメも素敵な旦那さんができたわけで。
これはもう偶然じゃないつーか。
その後、私はグレてヒメとは疎遠になっちゃったけど、大好きなお姉さんだった。
◇
これは、ホントに実話。デキすぎなぐらいだけど実話。
今も結婚式のハガキもってる。
花嫁姿のヒメの姿は、100人みたら100人が「美人!!」って驚くと思うわ。
でも、私はちょっとヒメにコンプレックスがあった時期もあんのよ。
「向こうは何もかもが完璧で、一方、私はめちゃくちゃだ!」みたいな。
ヒメは音楽もプロ。超絶美人で、しかも、高学歴のイケメンと結婚??「なにそれ??」みたいな。 それで、私が僻んで疎遠になっちゃったんだけど。
でも、今から思うと、あんなに親身になって私の話を聞いてくれたのは感謝しかないわ。 あのとき、ヒメに送ってた悩みや愚痴のメールとか、恥ずかしすぎて、もう絶対に見たくない。 でも、ヒメからのメールはいつもホントに簡潔で、丁寧で、私のことを一切否定しなかったし。
ホントに優しかった。
私が失恋したっつったら、すぐ電話かけてきてくれてさ。しかも、声も超可愛いの。
「あああ””、このやろう、くそ!」って。
当時の私には、ヒメの完璧さが苦しかった。
でも、今はホントに尊敬してる。