決勝T「ウルグアイ対ポルトガル」/IQ126の絶対美少女ミッキーのサッカーW杯観戦記⑥
ポルトガルが強いのはわかってる。
ただし、守備力が高いようなチームには思えない。かつ、ウルグアイを大幅に上回るような攻撃力があるとも思えないのよね。
一方、ウルグアイは守備力がある。双方の攻撃力が互角ならば、ウルグアイが圧倒的に有利だろうというのが私の見解。
あっという間にウルグアイ先制。
「体力のある前半は、両チームの最高レベルの技術のぶつかり合い」というのが私のサッカー持論
個人技は、後半にポンと出てくることもあるけど。
チームで練習したチームの技は、前半の5分こそが最も決まりやすいのよ。
相手にも、その技が知られていないわけだから。
今回、ウルグアイが繰り出したのはとんでもない大技。
キャプテン翼に「エッフェル塔攻撃」つーのがあるんだけど、知ってる人いるかしら?
フランスのピエールくんとナポレオンくんのコンビネーションなんだけど。
ゴールを頂点にした巨大な三角形、その頂点に向かって二人でワン・ツーパスを回しながら突撃していくんだけど。
ウルグアイがやったのは、マジでそれ。
レフトウイングとライトウイング。双方が猛スピードでゴールに突っ込む。
ワン・ツー・どかーん!
とんでもねーコンビネーションだったわ。
いったい、彼らが何をやったのか、あまりにサッカーのスケールがデカすぎて、シュートが決まった直後は誰も何が起きたのか理解できなかった。
「撃ちあいになる」つーところまでは、サッカーファンの予想通り。
ただ、「点の取り合い」にはならないんじゃないか。
なぜなら、ウルグアイの守備が異常に堅いから。
コスタリカのようにあからさまに固めてるわけじゃないんだけど、なぜか堅牢なのよ。
日本はセットプレイになっても、シュートが決めれそうなのは本田だけなのよね。
クロスも、フワっとした柔らかい。意外性が全くないのよね。だから、全然役に立たない。
他のチームのセットプレイは、シュートを狙うか、味方でも取るのが難しい厳しいボールを蹴る。
今大会、日本の他国のチームとの大きな差はそこだと思ったわ。
日本だと、クロスが決まらないときはキッカーが怒られるのよ。受ける側がワガママなの。
学生サッカーでは100パーセントそう。
なぜなら、日本では伝統的に、フォワードのほうが花形で立場が上だから。
受ける側にとって優しいボール、蹴りやすいボールが喜ばれるの。
ところが、昔の名選手・中田英寿は味方に厳しいパスを出したのよね。
「それを拾えば決まる!死んでも拾え!走れ!」
パスを出す側が、受ける側を叱ったの。
しかし、この「味方に厳しいパスを出す」という文化は日本人には受け入れられなかった。
「味方に厳しいパスを出す」という文化が成立するには、必要条件があるのよ。
それは「双方が厳しいパスを出し、双方がそれを受けることができる」
中田が厳しいパスを出したときに、それを拾える。また、中田にも厳しいパスを出し、中田もそれを拾ったときに、初めて「厳しいパスを出し合う」信頼関係ができるのよ。
これは誰かが誰かに「こうしろ」と指導するのではなく、チームが「厳しいパスを出しあうことを楽しめるかどうか」ってことが重要なの。
厳しいパスを出されたときに「なんだこれは、拾えねえよ。ふざけんな!」と怒っていては絶対にダメ。拾えなくても「拾えなくてすまなかった。じゃあ、オマエはこれ拾ってみろよ!」と厳しいパスをやり返す。もし、その強引なパスが通ったときに「面白い!じゃあ、次はもっと厳しいパスを回してみようぜ!」と皆で盛り上がってワイワイとサッカーができないといけない。
上意下達の日本サッカーだと、この感覚がなかなか育たないのよね。
でも、ウルグアイには、そういう「厳しいパスを楽しむ文化」がある。だから、前半直後のような「スーパーコンビネーション」が成立する。
また、フリーキックも思い切った厳しいのがドンドン飛ぶ。
日本も、そうならないと勝てないんじゃないかなと、私は思う。
まあ、ベーシストの私が、日本のサッカーの将来を心配してもしょうがねーか。
「ウルグアイ・ディフェンス」 は、堅いんだけど、感覚的なのよね。
「堅守」というと「布陣を敷いて守る」というイメージがあるけど、ウルグアイは流動的。
日本のディフェンスも、わりとウルグアイに近いんじゃないかしら。
「個人技で守る」イメージが強い。
逆に、スウェーデンはハッキリと「フォーメーション・ディフェンス」。
理に適っている。カウンターするときも、チーム内で明確なルールがあるのよ。
明確なルールがあるほうが、動きがきびきびするけど、逆に、相手に動きを読まれやすいという弱点もある。
「読まれても、正しい動きは正しいのだ」と主張するのがスウェーデン。
「個」の特性を活かして守備をするのが、ウルグアイや日本。
ウルグアイは攻めのイメージが強いんだけど、攻めでも個人技を発揮し、守備でも個人技を発揮する。ポルトガルは攻めは素晴らしいけど、守備は「カウンターの仕掛けのため」であって、堅さを重視しているわけではない。しかし、ポルトガルのほうが攻撃的なサッカーなのに、ウルグアイのほうが攻めも守備も光っている。だから、前半終了時点では 「ウルグアイのほうが一枚上手」のイメージがあった。
しかし、私がポルトガルで感心したのは、ロナルドの態度。毅然としてるのよね。
日本だったら、一点ビハインドで後半となったら「ミスをしてしまった、取り返さなきゃ」ということで、とても強い悲壮感に襲われるよね。
ところが、ポルトガルは「自分達を信じよう」という態度なの。美しいのよ。
やはりそれは、ロナルドの態度だと思うの。
「慌てない」というのは、口で言うのは簡単だけど、それを「態度」で表現するのって、とても難しいのよ。「みんな、慌てるな、慌てるな、慌てるな」とまわりに言えば、それは「ああ、不安なんだな。慌てているんだな」と、まわりから思われてしまう。
そうではなく「リーダーが入れば、何とかなる気がする、勝てる気がする」とまわりに思わせるのが良い態度よね。でも、それは「才能」がないと表現できないオーラだと思う。
そして、ポルトガルは遂に決めてきた。同点ゴール。
ウルグアイは、今大会、初失点!
日本と、他国の代表チームを比較すると、やはり他国の代表チームのクロスやコーナーキックは、すごく味方に厳しいのよね。でも、日本は「ふわっ」と優しいボールを蹴ってしまいがち。
他国は「ふわっとしたクロスは、カウンターを喰らうきっかけになるから危険」という考えが根底にいある。
ところが日本は「ここで絶対にゴールを決めてくれ!」という「願い」が優先されてしまう。
「取られても、取り返す」
一点取られたって、同点にされたって、いちいち落ち込まない。やるしかないんだから。
攻撃力のあるチームの思想を体現したウルグアイ。再びリード。
ウルグアイのエースが負傷。とにかく走りまくってたからね。
筋肉が痙攣したみたい。それをロナルドが優しく支えてウルグアイのベンチまで連れていく。
美しいスポーツマンシップよね。
でもまあ、ポルトガルからすれば、「最強ウイングの一角」 であるカバーニの離脱は幸運なわけで。そりゃ労わって、退場させたくなるわよね。カバーニは迫力があって本当に怖い選手。
どんなチームでも、体力のある前半と、体力がなくなった後半では、動きが違う。
だから流れも変わるし、作戦も変えなきゃいけないんだけど。
でも、ウルグアイもポルトガルも、両方とも攻めの勢いが落ちないのよね。
前半より多少スピードは落ちるけど、お互いガンガン攻めあってる。
「一流選手は、やっぱり体力があるのかな」と思ったけど、そうでもないみたい。
みんな、疲労で立てないぐらい疲れてるの。それでも、走れるつーのが一流選手。
とにかく、スピードが落ちない。
「個人技」って、物凄く体力を使うのよ。普通にドリブルをする際の体力の消費を「3」とすると、個人技を仕掛ける場合は「6~7」ぐらい疲れる。しかし、ロナルドはここでもキレの良いフェイントで突破を試みる。すげー気迫だわ。
ポルトガルは後半残り10分を切ったぐらいで、シウバを投入してきたんだけど。
この選手がめちゃくちゃ個人技が巧いの。パスもドリブルも癖があって、全く流れを変えてしまう。
もしかしたら、この動きの癖の強さが味方のリズムも崩しちゃうから、後半の終了間際に投入したのかもしれないけど。 もっと早く投入していたら、もっと活躍してたんじゃないかしら。
終了間際。ウルグアイは一点を守り切れば良いだけなのに、チャンスがあればカウンターも仕掛けていく。やはり「攻撃は最大の防御」。
守備には二つの考え方がある。一つは「最大人数を集めて壁を作る」 。もう一つは「コチラが攻撃している間は、相手はこちらを攻撃できない」
守備を固めると、相手のシュート本数が増えちゃうでしょう。そうすると、いくら守備を固めていても「確率的に」シュートが入ってしまう可能性がある。
ウルグアイやベルギーには「守るより、攻めるほうが安全」という概念がある。
最後の最後まで、「点を取ろう」という気持ちを失わない両チームのぶつかり合いは、男らしくてとても素敵だった。素晴らしい試合だった。